.oO(monologue)

毒吐く独白(ノン)フィクション

アンビエント、不穏だ! さりとても咀嚼中で

Ambient Advent Calendar 2019 が終わったので全体的なライナーノーツのような後記を。
後記、と言いながらも、実は書きはじめたのは制作より前だったりする。。(モチベーションや設定や価値観の固定化をするためにも書いて自らを鼓舞していく。。かなり前時点なのでココの編集も実験的に凝りに凝ってみています)

Ambient Advent Calendar 2019に参加した経緯

10月のはじめのほうだったか、星沢みらい氏から「こういう企画、やってみない~?」と連絡を頂いた。丁度自分もその頃、屋外でDJをしてInstagram LiveやYouTubeで配信する、所謂やっていき企画みたいなものに初速をかけていたこともあって、こういうのは鼓舞して無理にでもやってもらいたいなと思い、二つ返事で「やりましょう!」と答えた。
スケジュール的には、その時点で11月は制作に回せそうだったので、「3曲提供できます~」と口々に言っていたが、実際11月になったところ、いい~具合にスケジュールは埋まっていき、実際はツメツメだった。。

制作にあたって

これは自分が基本的に制作をする上でどうしても避けられない話題。基本的に自分は音に対して確固たる強い意志やコダワリがあって決定する部分が圧倒的に欠けている。
例えば今回の制作では「アンビエントだから…リバーブはまずほしいよな」ってところまでは発想しても、それがどのくらいの量でどういう質なのかまでは基本的に考えて作業しない。。ロジックな思考回路は大好きで着想はそこからでも、そこだけなことが多い。(楽器の制限とか、いろんな要因はあるけれども…)
そして自分の発想が脳内に残っているのは今までの経験上だいたい2日ぐらいだと思っている。なので、3日以上かかると、当初理想としていたものとはかなりかけ離れる傾向にある。況してや先述した「とりあえずリバーブ」に耳が慣れてしまって、「これでいいや」みたいな無意識な妥協も生まれてしまうことが多い。。
なので、全体的な行程としては、2日以内に一旦完成と言えるところまで完成させて、1日明けてから、ちょっとの手直し程度で済むものが採用、手直しが多くても大まかな動きが見えていたら着手、それ以外はボツ、みたいになることが結構多い、作り込みたくてもモタない。。(だから多分、ストックとか向いているんだろうなぁ、次の周る気分で選べれれば。。)
しかも今回は比較的よく聴くけれども、実際に作ったことはそんなにない「アンビエント」というジャンル。まずはアンビエントの再認識の為に、気軽にSpotify公式のアンビエントのプレイリストとか聴いたりして、単純に耳を整えていった。。単純。。。

結果として、今回制作した曲は7曲、採用したのは予定通り3曲になった。
制作はいつもどおり全てStudio Oneで、あと結構公式プラグインばっかり使っているのもポイントだったりします。

M-01(12/04)_turquoise sphaerium

カレンダー的には4日目。アルバムでいったら4曲目って、「このアルバム、聴き続けようかな?」ってなってから速度がかかる感じが自分の中でしたので、なんとなく耳あたりのキャッチーでポップなものを作りたいとぼんやり。
いろんなアプローチ(天体、ミニマル、ワールド、ノイズとか)を考えてて、どうしようかな~と思っていた矢先でたまたまユリイカの濱口竜介総特集を読んで、結構「寝ても覚めても」のサントラはアンビエント寄りだ~とか書いてあって、もうちょっと日常的なサウンドトラックっぽいものにしようかな~と徐々に固めてみた。
結果としては「公園の回転遊具、外から見れば地球、中から見ればプラネタリウム?」というテーマでまとめた。ターコイズにしたのはなんとなく地球儀のイメージがその色だったから。。多分実家の近所に元々あったやつがその色だったな、サビだらけだったな…。
イメージはSerphのイルカの星だったり、DE DE MOUSEのキキ&ララ 星空の旅だったり、天体の世界観なんだけど、視点が宇宙じゃない身近などこかにしたかった。コードはエリック・サティのジムノペディを分解しながら、いつもの癖の強い弾けない手弾きに戻していった。メロディは自分が公園全盛期の頃にハマってたスーパーファミコン「パネルでポン」あたりを意識した。
ワリと自分にしたらストレートに、小細工なしにやろうと意識した気がする。。

M-02(12/18)_lim[h→0]{(e^h-1)}/h=1 [130.7069]

個人として名前が出るのは2回目、2回目だし。。なんかもう突拍子もないような自由なことやっちゃえ、と思ってワザとメチャクチャな気持ちで吐き出してみようと思った。
とりあえず徹夜して深夜テンションみたいで作ってみるも初稿はボツ(おきてからはずかしくなった)
その恥じらいにも持たせないぐらい2回目では勢いでパッケージングしたのがこの曲、「lim[h→0]{(e^h-1)}/h=1 [130.7069]」です。
テーマは特に無し。アンビエントと話を聞いて、一番最初に思い浮かんだのがAphex TwinのSelected Ambient Works 85-92だったので、音の広がりはできるだけActiumに寄せて、あとは色々と参考にしながら自由に作っていった。
ちなみにBPM[130.7069]、これは同じくAphex TwinのSyroから、日本版ボーナストラックを含む曲名末にあるBPMの平均値を割り出して決定しました。
曲名の由来はネイピア数オイラー等式。iPhoneの計算機アプリで一定の桁数を超えると指数表記で表示されるe、あれのこと。この曲名もAphex TwinのEquation(ΔMi⁻¹ = −αΣn=1NDi[n] [Σj∈C[i]Fji[n − 1] + Fexti''n''⁻¹)から着想。
音質的には少しニッチで無意味なことをやっていて、曲が完成した段階で24bit/48kHz(WAV)、44.1kHz/320kbps(mp3)、32kHz/64kbps(mp3, mono)の3パターンで書き出して、WAVを主軸にしながらmp3音源は少しだけ小さくズラしながら鳴らす、というファイル形式でアナログに寄せたディレイをかけるようなこともやってみている。意味があるのかはマジで不明。
終わってみて、意外とこの路線でいっている人が少なくてラッキーと思ってた。

M-03(12/25)_gn

当初の考えでは、とりあえず2曲は作って、3曲めは12月に入ってからみんながどんなものを作ってくるかで様子を見てカウンターしようとでも思っていたが、思いの外12月のスケジュールが厳しいこと、そして予定表を見たらなんとトリになっていることを受けて、「これはカウンターで終わったら後味悪いだろ~」と思い断念。
そしてよくよく見てみると12/25、クリスマスではないかと。最初の星沢氏からの連絡には「クリスマスっぽい曲を作る必要はない」みたいなレギュレーションが伝えられていたので、「これはフリだろ~」と、カウンターする矛先を変えた形でざっくりとした設定をまとめた。

曲の最初のイメージは、フランク・シナトラ及びCorneliusの「Sleep Warm」から、『クリスマスなのになかなか寝ない子どもたちを寝かしつける子守唄』のようなものだったり、PlayStation2のゲーム「フリップニック」のオープニングテーマから、『ワルツのようなもの』をテーマとして想起してみて、本当はもうちょっとメロディアスなものにするつもりだったが、うまくコードと合わなかったので微妙にコードを変化させてサンタさん来る、去る、みたいな流れを作ってみた。
これも上の曲と同様な音の処理をしていて、特にこれはStudio Oneが書き出しできる最低の音質(AIFFなんすね…)でモノラルで書き出したものが使われていて、優先度は圧倒的にこっちのほうが高く、音質的にはメチャクチャなものにしてみています。

おわりに

まずこの企画を発案、途中デザインやテック周りで相談、そして見事に遂行して頂いた星沢みらい氏に感謝します。お疲れさまでした、ありがとうございました。
そしてこの企画に参加して頂いたコンポーザー各々、こんなに刺激になる概念なジャンル、他にないです、メッチャ楽しかったし参考になりました。
今回はできなかったんですが、一曲に対して複数名が参加してデータ回しあうようなバンド的な合作もやってみたいな~と思っています、やりませんか?やりましょう、よろしくおねがいします。
自分は。。。もっとがんばります。。。